6月 - 8th
iPad購入一週間後レポート
Posted at 09:54 | Filed Under Web, iPad, ネタ, マーケティング, 日記
iPad購入から一週間。自分のiPadはwifiモデルなので、wifi+3Gを所有している方には参考にならない点もあるかもしれないのでご容赦を。まずは利用シーンについて。ちなみに以前のレポートはこちらです。
利用シーンの向き不向き
どんな時に使うんだろうと思って、実験的に毎日持ち運ぶようにした。朝の通勤電車の中、出社前に寄るスタバ、オフィス、休憩中のマクドナルド、帰り道など。
07:30
まず通勤電車の中だが、利用している湘南/新宿ラインでiPadを使って何かする、なんてことはあり得ない。カバンから出すことはおろか、つり革につかまることだって楽ではない。そんな状況ではどうやったってiPhoneを触るのが限界で(正直それもしない)、しかも武蔵小杉〜大崎間なので、乗車時間は正味8、9分程度。何もできなかった。
08:00
出社前に立ち寄るスタバはどうかというと、こちらは比較的快適だ。幸い、行きつけのスタバはソファが充実しており、朝早い時間だとソファに座れるので、ゆったりとコーヒーを飲みながらメールのチェック、Twitterのチェック、Google Readerのチェックぐらいは快適にできる。ただしネットへの接続が必要で、今のところpocket wifiを利用。徐々にmobilepointが入ってくる予定だそうで、それが入れば快適に使えそうな気がした。
スタバでiPhoneを快適に
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20413523,00.htm
10:00
オフィスではどうかというと、こちらはハッキリ言って今の職場では使わないことが判明。まあ半分予想はしていたが、会社ではデスクトップPCとノートPCを併用しており、贅沢にもMacbookまで持っていたりするため、iPadが登場するシーンは正直まったくない。強いてあげればフォトフレームかTwitterのタイムラインを常駐させておくことぐらい。でも絶対そんなことしないけど。
ただし、今はAppleのプレゼンソフト、Keynoteを習得中。少しずつプレゼン資料をKeynoteで作っていくようにしたいと思っているので、iPadのKeynoteと連携すればちょっとスマートなスピーカーになれるかもしれないと期待はある。とはいえまだiPad版のKeynoteは互換性に改善の余地があるような噂が多いので、購入は様子見で。
15:00
午後の昼下がり、休憩中のマクドナルドでは朝のスタバと変わらないのだが、すでにmobilepointがバリバリ入っているので快適に扱える。メールはもちろん、動画も苦にならないが、いかんせん、食べるものによってはディスプレイを触る指が気になってしょうがない。ハンバーガーはいい。問題はフライドポテトだ。当然液晶保護シートを貼っているので別に後から拭けば問題ないんだけど、どうもためらってしまう。親指と人差指でポテトをつまんだら、iPadは中指でタッチ的な切り分けを無駄にしてみたり。なんかね、ちょっとね。
20:00
帰り道はどうか。これは朝と一緒。まったく使う余地がない。ただ朝と違って帰りの時間帯によっては多少電車も空いているので、本を読むぐらいのことはできる。実際、わずかな時間だけれど、本を読んでいる。今後、iBookまたはkindleなどで、日本の書籍が充実してきたら、もしかしたらサッと取り出してちょっと読む、みたいなこともできそうだ。
Sunday
そして最後は休日の使い方。さすがにスーパーに買物に行く時には持ち歩かない。なのでiPadさんは家で留守番なんだけれども、子供のオモチャにはなっている。特に子供に評判がいいのは、iPhoneでもおなじみの、pocket pond HDという癒し系アプリ。画面が全体が池になっていて、コイがフラフラ〜と泳いでくるアレ。画面を触るとパシャパシャ言ってコイが逃げちゃうアレ。無料版のものを入れているが、ジーッとみながら突然コイを攻撃し出す。勢い余って有料版へアップグレードするボタンを押してしまってiTunesが立ち上がるorz
Pocket pond HD
あと喜ぶのがJamPadというピアノのアプリと太鼓の達人。太鼓の達人はまだゲームをクリアするっていうレベルじゃないけれど、大人がやってるマネをしながら遊んでる。ピアノのほうはドラムやギターの音を出せるので、こっちは耳を画面にくっつけるようにして楽しんでいる。画面から音が出ているわけではないんだけども。
あと、コンテンツとして、ビデオはいいかんじ。「崖の上のポニョ」や「アンパンマン」のDVDをDVD Catalyst FreeでMP4にどんどん変換し、iPadに突っ込んでいく。ポニョなんかはとても喜んで観ているのが印象的だ。
崖の上のポニョ [DVD]
by G-Tools
アプリの期待
子供向けアプリは上のとおり、お気に入りのアプリが見つかった。これからも面白そうなものがでてくるだろう。
自分用として、なんかいいアプリはないかと思いながら、毎日一度はApp Storeを立ち上げるが、まだまだイケテそうなアプリは少ないし、一つ一つが割高に見える。Keynoteの1200円から始まり、すごく面白そうな元素記号図鑑は1600円もする。115円のアプリも購入直後に比べると増えてきたが、だいたい欲しいなぁと思ったものは、230円とか、350円とか。なんだか回転寿司の皿を見て、やっぱやめとこー、みたいな気分。
iWork ‘09
欲しいのは、イケてるノートアプリ。絵もかけて、任意の場所に文字を入力できて、サクッと保存&送信ができるタイプのもの。無料版でneu.Notesというのが比較的イケてて、写真を取り込んで落書きしてみたり、それをすぐに保存してメールで送ったりというのは暇つぶしにはいい。しかし、キーボード文字入力ができないのが残念。有料版でイケテそうなものを探す予定。デモで公開されていた、PadNotesが実現すれば確実に買うが、今リリースされているPadNotesはすごくシンプルな機能なのでまだまだ購入は未定。
そんな中、900円も出して購入したのがiThoughtsというアプリ。こちらはマインドマップ作成アプリなんだけど、これはイケそうな気がした。そんなに自分はマインドマッパーではないけれど、それは逆にそういう環境を自分で作ってこなかっただけで、マップを描くのは結構好き。でもPCでフリーのFreeMindは若干使い勝手が悪いし、なんとなく他の文書と孤立することが多くて(拡張子も標準だと.mmとかヘンなかんじだし)・・・。というわけで、iThoughtsはサクッと作って溜め込むこともできるし、メールで送信するのもカンタンだし、マインドマップの見た目もトニー・ブザン本家のマインドマップと近いかんじで仕上げられそうなグラフィックということもあって、気に入った。これまでのブレストは、ノートPCだと、GoogleDocsでひたすらテキスト打ちな作業が多かったが、今後はこういうアプリも使ってみようかと思ったりした。とはいえGoogleDocsは今後もますます使っていくと思うけど。
ザ・マインドマップ
神田 昌典
あとは・・・写真系、SNS系はそんなに使ってないかな。ちなみにTwitterは、Twitterrificの無料版を利用。1アカウントしか使っていないので、これで十分。カレンダーは、Google Carendar Syncで全部同期(iPhone向けガイドですが、手順はまったく同じ)。今のところまったく不自由なし。
その他(といってもこれが一番大事だったりするのだが)、クラウドストレージ系で、Dropboxと、SugarSync、Evernoteをインストール。どれもクラウドストレージの代表格なので特に説明は不要だと思うが、これだけ使っておけばPCとのデータ共有や格納領域で心配することはまずない。どれかに統合できるかとも思ったが、いろいろあってそれも無理。だから全部インストール。気にしなきゃいけないことといえば、iPadを落とした時の情報漏えいぐらいか。そろそろスクリーンを暗証番号でロックするかな。面倒くさいけど。
バッテリー
これは今のところ言うことが無いほど持続している。3Gの場合はちょっと違うのかもしれない。wifiだけなら、付けっぱなしにしないように、ポイントポイントで使えば2,3日は余裕。欲をいえば、残量率を「%」ではなく、残り時間表示もできるようにしてほしかった。まあここは今後のアップデートに期待を込めて。
iPadのバッテリー交換は「99ドルで本体ごと交換」か
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/15/news030.html
iPhoneとの棲み分けはできるか
会社所有のiPhoneを持っているのだけど、今のライフスタイルで、iPhoneとiPadを使い分けるならば、通勤時はiPhone、カフェはiPadな程度のシンプルな使い分け。もともとiPhoneではRSSリーダーとメールとTwitterがほとんどだったので、ゲームの頻度が高かったりする場合はあまり参考にならないかもしれない。あんまりエンタメ系のアプリには興味がなかったりするのですいません。
やっぱりキーボードが欲しい
文書を描くのに、ソフトキーボードは悪くなかった。しかしそれはiPhoneや他のタッチデバイスと比較しての話であって、本格的に文章を入力するにはどうしてもスピードが落ちる。スピードが落ちる理由は、ミスタイプと変換の確定方法だ。通常のキーボードのように5×2=10本の指を使って入力するのはなかなか難しく、どうしても2,3本の指が限界で、その分、視点が文書のカーソルとキーボードを行ったり来たりすることになり、まったくもってQWERTYキーボードの意味をなしていない。
そんなわけで、サクッと入力できるように、ワイヤレスキーボードが欲しかったりする。どんだけ物欲高めるんだよAppleは、、、と自分が情けなくなってくるが、それだけ揃えてもいいんじゃないかという可能性の大きさがiPadにはあるような気がする。まあ批判は少なくないだろう。これはひとつの意見として聞いてもらえれば幸い。
Apple Wireless Keyboard (JIS) MC184J/A
5月 - 26th
回転寿司のCRMと、将来のマーケティングメモ
Posted at 12:21 | Filed Under Web, コミュニケーション, マーケティング, 時事
近所にある回転寿司のIT化がすさまじいと思ったら、ついに先日、各テーブルにオーダー端末が導入され、ようやく一段落ついた。それで思ったんだけど、とりあえず今読んでる本と絡めて、メモ。
半年前ぐらいから、EPARKという順番待ち予約ASPが導入され、さらにCRM施策として、これも半年前ぐらいからプリペイドカードを発行し出したので、まあ近所だしよく行くからいいかなと思って作ったところ、携帯サイトはオープンするわ、Web予約ができるようになるわ、携帯から予約状況が確認できるようになるわ、で、こないだついにテーブルにオーダー端末が導入されたた。
オーダー端末が導入される前は、インターホンのようなものが各テーブルに設置されていて、注文時にボタンを押すと向こう側の人が「ご注文をどうぞ〜」って返答がくるので、マイクに向かって話す方式だった。ただし音声でのやりとりなので、スピーカーの音が小さかったりすると聞き取りづらいし、こちらもネギトロを頼んだら中とろがでてきたりと、若干の聞き取りミスも発生したり、ちょっと大変だった。
やっぱり便利になった
で、このオーダー端末や予約システムなんだけど、これは回転寿司業界では「くら寿司」が先行して導入していたり、チェーン居酒屋なんかでも導入されているので、それ自体は今や珍しいものではないが、以前の運用から切り替わると、やっぱりずいぶん便利になったなーと思うことが多い。
ちなみに、予約システムのEPARKは、導入事例のひとつを取り上げると、キャンセル率が格段に下がったそうで、これはかなり効果をあげているんじゃないかと思う。導入費も初期こそ60万円ぐらいとのことだが、月2万円〜ということらしいので、それぐらいであれば月額利用料だけ考えればアルバイトを一人減らすだけで十分ペイできる計算になる。
また、オーダー端末の導入効果も高そうだ。実際、スピーカーの向こうで注文を受け付けていた人は不要になるわけだし、ホール担当の人もそのオーダー端末で呼ばれたらテーブルに伺えばいいわけで、常にスタンバイしておく必要なく、従来の半分ぐらいで足りる気がする。
さらに注文の正確さもオーダー端末の特長である。特に都内のチェーン居酒屋なんかだと、ホール担当は日本人の数以上に、中国人、韓国人が多い。店員さんは日本語をよく勉強している人たちが多いので、注文する側もそれほど気を遣わなくても良いことが多いが、それでも「ちゃんと伝わったかな・・・」と思うこともたまにある。居酒屋のランクが下がれば下がるほどその傾向は顕著になり、ひどいところは本当に通じていないこともあって、それこそメニューが「旅の指さし会話帳」になって、こっちは酔ってるだけに超ストレスになったり。
そんなところではこのシステムの導入効果は絶大だ。店員さんはただひたすら配膳に集中できるので、厨房から出てきた料理を指定のテーブルに出し、開いた皿とグラスを下げるだけ。客とコミュニケーションをとる必要はまったくないし、店側もアルバイトの採用コストを減らすことができる。客側も、テーブルに設置されている端末から注文した方が正確だし、まとめて注文するときに覚える必要もないのでグループで注文するときにも効果的だ。
でもまだまだ荒削りな端末
ただ実際、まだこの端末は改善の余地がありすぎる。まず上に挙げた回転寿司チェーンの場合、端末がテーブルの上のほうに固定されているため、その端末を操作出来る人はレーン側に座っている人に限られる。また、せいぜい8〜9インチぐらいのディスプレイなので、目が悪い人には非常に見づらい。
居酒屋の場合、テーブルで端末を自由に移動させられることが多い。カラオケボックスのDAM、JOYSOUND端末みたいなかんじだ。オーダーすると、厨房のサーバに無線で通知される仕組みだ。ただ、この端末が思いのほかデカイ。端末はたくさん必要で、かつ雑に扱われがちなので、しっかりとした設計で、かつ安い素材で作らなければならないんだろうということはなんとなく理解しつつも、やっぱりデザインがイマイチで、テーブルの上で無駄に存在感をアピールしている。
さらに、ディスプレイのサイズ制限のために、メニュー一覧を表示することが非常に難しく、最初にジャンル別メニューから選択し、下層ページに入っていくしかないため、特に季節もののメニューなんかはどこにいけばあるんだろう?とか、はっきりとジャンルを分類できそうにないメニューの場合、探すときに迷ったりしてしまう。
オーダー端末の改善案
そこで改善案を勝手に考えてみることにした。まずは近い将来の話から。
電子ペーパーの技術が発達すれば、たとえば普通の紙ベースのメニューの状態でオーダー端末のように使えるんじゃないか
また、電子ペーパーをテーブルに貼りつけておけば、テーブルをディスプレイにすることもできるだろう。これによって、かなりテーブルの位置づけは代わり、昔の喫茶店にあったゲーム機つきテーブルみたいなかんじか。こんな記事もあるので、おそらく近い将来、いろんな分野で実用化されていくんだと思う。
新聞サイズの曲がる電子ペーパー(韓国LG)
次に、ここ1年ぐらいの計画なら可能ぽい話。
iPadをオーダー端末にしてしまう
この方法も悪くない。実際、どこかのベンダーがiPod touchを店員のオーダ端末にしたサービスを立ち上げているみたいだから、十分アリだと思う。ただしiPadは精密かつ高級かつ多機能。機能を限定させ、かつ耐衝撃の加工は必要だ。あとは盗難防止とか、電源の供給問題なんかも・・・。結構問題は多いか。。
タニコーなど3社、iPod touchで注文する居酒屋・レストラン向けセルフオーダーシステムを開発・販売
そして最後に、たぶんすぐできるだろうと思われる話。
カラオケの予約端末をパクる
既存サービスの拡がりを見せるために、まずはカラオケ予約端末が実装している機能をマネするのはいいかもしれない。たとえばこんなかんじ。
当店人気メニュー(帰れま10的な企画とか)
年代別人気メニュー
前のお客さんが注文した履歴表示機能
カップル/ファミリー向けメニュー
料理に点数をつける機能(フィードバック機能)
こんな機能があると、客(テーブル)単価の向上に大きく貢献するだろう。技術自体はすでにあるんだから、飲食店仕様にカスタマイズするだけ。実際、人気メニューはちょっと気になるコンテンツだし、評価がついていれば客も信頼できるし、店側もヘンなモノは出せないし、商品開発につながる。いろいろ双方にとって嬉しい機能が揃う。
カラオケのDAMの場合には、利用者向けにClubDAMという会員カードが発行されている。こちらにはEdy機能があるので、その場で有料コンテンツを購入することができる。DAMを使ったことがあれば知ってる人も多いと思うが、このカードを端末の指定場所に置くと、プロフィール画像や、自分の歌った曲の履歴などが読み込まれ、そこから選曲することもできる。これこそが、回転寿司のCRMに必要な機能。つまり回転寿司って何枚も皿を積み上げて、会計時にはその色と枚数を数えるだけだが、実際このお客が何を食べたかって店側はほとんど把握できていない。皿の色である程度はわかるにしても、ウニとイクラと中トロが同じ色の皿の場合、このお客が何を食べたのかは客本人しか知らないし、客本人ですらだいたい忘れてしまっている。
でも売れている商品の傾向ってかならず客層別にあるはずで、子連れの家族、若いカップル、お一人様、友達同士、老夫婦などでだいぶ傾向の違いはあるはず。そういうデータが蓄積されれば、例えば近い将来、オーダー端末などに顔認識機能が実装されたりしたときに、客層をなんとなく判定したら、オススメメニューがでてくるとか、もっと深く、その人(個)を特定しさえすれば、過去の注文履歴を表示させる、みたいなことが実現できる。うっとうしいと感じるお客もいるかもしれないが、そこはオプトイン制(任意選択)にすればよい。それよりもレコメンド機能はかならずクロスセル効果を生むので、一定の効果は上げられるだろうし、店側も、材料の効率的な調達や、廃棄処分の減少にもつながる可能性が高い。
CRMの将来
CRMは飲食業界のみならず、幅広いB2C、B2Bへと、業界を問わず拡がっている。今、Marketing3.0という本を読んでいるところで、まだ読み終わるまでに時間がかかりそうだが、今後のマーケティング活動は、単純に消費者中心主義といったCustomerのニーズ発掘を分析したマーケティングではなく、人の感性や習慣に入り込んで、人の価値を高めるための製品やサービス開発になってくるだろうと予測されている。これを従前と比較して、“人間中心主義”と呼ぶらしい。詳細はまた読み終わったらまとめておくことにするが、回転寿司業界も、Marketing2.0の体制は整いつつある。次はどんな施策を打ち出していくか・・ちょっと楽しみなかんじではあるが、きっと予想をはるかに超えたマーケティングが始まるのだと思う。消費者も気づかないうちに。
Marketing 3.0: From Products to Customers to the Human Spirit
by G-Tools
自分もそんなビジネスモデルを考えられるようにならないと。いい歳だからなー、と、日々是精進なのでありました。(おわり)
5月 - 18th
モバイルサイトをFLASHで見るということ
Posted at 09:35 | Filed Under IA/UX, Web, WebSite, Webビジネス, デザイン, マーケティング
最近、モバイルサイトをFLASH化して作る、みたいな話がある。スマートフォンが大盛り上がりの2010年だが、まだまだ普及端末は日本の「ガラケー」と呼ばれるタイプのものがほとんど。i-modeが始まって以降、EZ-Webやyahoo!ケータイがでてきて、その端末のために最適化されたモバイルサイトというものがもうホントに、ものすごい数できているのは今さら語る話ではないけれど、運営するほうも大変な労力だったりする。
Web業界の人には語るまでもない話だが、そんなに詳しくない人向けにお話ししておくと、世の中にはPC向けに作るサイトと携帯電話向けに作るサイトがあって、これまではそれぞれ全くの別物として作ってきた。さらに携帯電話向けのサイトは、同じように見えるサイトであっても実はドコモ向け、au向け、ソフトバンク向けのサイトを作っていることが多く、アドレスも
PC:http://www.aaa.com/
ドコモ:http://www.aaa.com/i/
au:http://www.aaa.com/ez/
Softbank:http://www.aaa.com/j/
のように、ディレクトリを分けて管理しているみたいなかんじが多かった。でもこれは10年ぐらい前の話。なんでケイタイサイトが分かれていたかというと、公式サイトとして登録されるために、キャリアごとに分けなければならなかった理由のほか、アクセス分析のためだったり、着メロをダウンロードさせるにもファイル形式が違うためだったり、キャリア別の絵文字に互換性がなかったりしたためだ。
URL一本化の実現
そして時代は流れ、そのへんを便利にしようとするサービスや技術が続々と開発された。一つはキャリア自動判定モジュール。これはサービスというよりも技術のほうで、Webサーバを司るApache(アパッチ)と呼ばれるソフトウェアが、携帯電話からアクセスされたときに自動的にその端末がどこのキャリアのものかを判別して、適切なURLを返すというもの。つまりサイトは上のように4つ運営しているものの、公開用のURLは一つでよくなった。「ドコモはこちら」のような表記を最近見かけないのは、そういうことだ。
iPhoneが変えた携帯電話の操作性
2008年頃から日本にiPhoneが上陸。モバイル端末でPCサイトと同じ画面を見ることができるようになった。もっとも以前からフルブラウザ機能はあったが、パケホーダイが適用されなかったり(あっても高価なプランだったり)Javascriptを使えないためにいろんな機能が使えなかったりなど、実用性は全くと言っていいほどなかった。一方でiPhoneは完全に定額制。そしてあの大画面と圧倒的に快適な操作性。この自由さを体験した頃からモバイルサイトのあり方が変わり始めた。
iPhoneが出てくる前からではあるが、その頃からモバイルサイトをFLASH化して見せようとするサービスが登場した。FLASH自体は前から端末には採用されているが、一部のバナーでの利用だったり、ゲームコンテンツだったり、利用は玄的的だった。サイトのFLASH化とは、サイト全体を全面的にFLASHで表現しようとするものだ。型さえ決めてしまえば、それにデータを流しこんでやるだけで、FLASHで作りこんだ最適なページを生成することができる。なかなか伝わらないかもしれないが、たとえばこういうもの。
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モバイルサイトというと、画面サイズやcHTMLの制限により、凝ったデザインやレイアウトはできず、ただひたすら段落を続けて記述していかなければならないため、ものすごく縦長のサイトになっていることが多い(2010年現在でも)。いつまでスクロールすれば終わるの?みたいなことを経験したことがある人も少なくないだろう。長すぎて長すぎて、自分が何を探していたかすら忘れてしまいそうになる。
そこでFLASHサイトの登場
それを解決するのがFLASHサイトだ。一度上のQRコードからアクセスしていただければわかると思うが、膨大な情報量をスクロールしなくても表示(切り替え)ができるというナビゲーションになっている。また初心者にも直感的な操作になっているので、わかりやすく、切り替えるたびに通信は発生しないのでストレスもない。ニチレイのレシピサイトはわかりやすい例だが、他にも不動産物件の検索や、デモにもあるが、座席予約なんかはとても適している表現方法だ。このページの型(テンプレート)を最初に決めてしまえば、あとはデータベースを更新するだけで自動的にページに反映されるので、運用者としても管理がしやすい。
さらに運用者を楽にする側面として、キャリア、機種に一切依存しない(※)ということが挙げられる。機種対応というのは、かつて非常にアナログ作業であり、市場に出ている全ての携帯端末で人が表示確認をするという超アナログ作業が大真面目に行われていた(今でもあるが)。そういう専門業者もいるくらいだが、これだけバンバン新機種が発売されると正直もう限界なかんじ。これらの作業をFLASH側で、画面サイズを判定して自動縮小/拡大したりして、吸収してくれるのだ。
※厳密に言えばFlash Lite1.1以上、というスペックが求められることが多く、おおよそ98%の携帯端末をカバーしている。一方で2%には対応していないが、こちらは古い機種だったりするので、この割合は徐々に0に近づいていくと思う。
FLASH化の課題
ただ、メリットばかりではない。「Webサイトは永遠のベータ版」と、ブラザー工業の方が先日のセミナーで仰っていたがその通りで、Webサイトというのは常に更新作業が発生する。時には大規模なデザイン変更も必要になってくる。そうしたとき、FLASHで作ったサイトというのは通常のHTMLに比べて変更作業が難しい。もちろんFLASHマスターが社内にいれば問題ない話だが、このご時世、そのために人を抱えておくほど余裕のある企業も少ないだろう(だってほとんどの企業にとってWebサイトを作ることは本業ではないのだから)。そのため、そういうことができる制作会社に外注するわけだが、当然、HTMLを編集するよりもコストがかかる。頻繁に更新作業が発生すると、かえってコスト高になってしまう。雑な言い方をすれば、融通がきかない。
システムの観点からも課題はある。FLASHサイトというのは、アクセスする度に必要なデータをデータベースから引っ張ってきて生成する、「動的サイト」に分類される。動的サイトというのは、アクセスする度にサーバー側のプログラムを動かすわけだから、サーバー側の負担がかかる。そのため、静的サイトに比べてアクセス負荷に弱い。大量のアクセスが予想されるようなサイトでは、なかなか採用できないのが現状だ。あとはSEOについても、現段階ではいいとも悪いとも言い難い。このへんは速い速度で進化をしていくので、深くは言及しないが。
さらに、すでに普及しているサイトの(縦長)レイアウト構成に慣れてしまっている人も多く、急にFLASHサイトに出会うと来訪者を混乱させかねないため、かえってユーザビリティを落とすことにもなる。だから今先進的な企業がFLASH対応をしていても、実はレガシーなサイト構成を並行して運用したりして、“実験的に”運用していたりするのだ。
主流が何かを見極めることも重要
一方で、FLASH対応については、Appleが「FLASHは古い」として見切っている。AdobeはそんなAppleに、ラブコールを送っている。今後、ガラケーと呼ばれる日本の携帯は、3年から5年かけて急激に衰退していくとともに、スマートフォンの割合が膨らんでいくと予想される(iPhone以外でも、国内、海外のベンダーが出してくる端末がそうなってくるはず)。Appleが「FLASHは古い」と言っているのは、HTML5、CSS3の普及により、FLASH機能を代替しようと考えているからだ。もしAppleの考えが正しければ、「モバイルサイトのFLASH化」を検討することは、今は良くても3年後、5年後を考えると、勿体無い話になるかもしれない。
とはいってもWebサイトの寿命は3年〜5年程度。Webというのはこのくらいのサイクルで、時代に合わせたリニューアルをしていくのがちょうどいい。だったら当分続くガラケーユーザーの方たちのために、FLASHを採用するっていうのもアリか。
あなたの企業サイトも、FLASH化したら便利になるかどうかという適性をみて判断してほしい。

